兵法会・木刀プロトモデル

以前より構想していた当会の木刀。故奥田真夫の高弟である別府修一師範が、生前に奥田先生より言い伝えられてきた理想の自顕流木刀を現代に復活させるプロジェクト。

奥田先生の愛刀を参考にし、実際に試作品木刀を別府師範や木刀店に握ってもらい打ち合わせを繰り返し、何度もミリ単位で微調整を繰り返しながら、ようやく納得の原版となるプロトモデル製作までこぎつけることができました。

 

通常、市場で出回っている自顕流木刀は100㌢。ですが、当会では、故奥田先生や別府師範の意向を尊重して全長4尺2寸の木刀を使用しています。

 

今回のプロトタイプも、それを継承した仕上がりです。また、故奥田先生は生前、当流派の剣術を「自顕流」と呼ばず、「野太刀」と言われるのが口癖だったそうです。よって木刀名も「野太刀」と命名しました。

 

野太刀とは、4尺以上(120㌢以上)の刀を指すわけですが、今回の木刀「野太刀」は、実際に、4尺以上の真剣や居合刀が振れて抜ける長さ・重量を考慮し実践に即した純国産(素材)のこだわりの職人仕上げになっています。

 

私も、このプロトモデルで振ってみたみたところ、正直、長太刀とは感じないほどの抜き味、抜き易さ、打ちあいにも負けない武骨な重厚さを両立させた一刀です。

 

今後は量産段階に入り、もうしばらく時間を要しますが、完成までお楽しみに♪

木刀最終調整!

現在、当会の木刀を製作中ですが、完成が予定より大幅に遅れている状況です。昨夜は、木刀の里・都城市へ出向き、最終調整してきました。

 

今まで愛用していた初代木刀(左)も、問題点でもあった持ち重りを軽減するためにミリ単位でシェイプアップ。これで、駆け廻りながら敵を斬り倒す打ち廻り、相対して木刀同士で打ち合う長木刀も、ストレスなく稽古に集中ができるかと思います(^_^メ)

 

一方の弐代目木刀(右)は、今回最も力を入れた木刀で、一瞬で敵を切り裂くための素早い抜き技に対応しています。帯刀する帯と木刀の摩擦を軽減する為の工夫も施されおり、重心を柄側に調整しています。さらに今回は、切っ先から中央までのミネを1.5ミリ削ったことで、より抜き上げスピードが上がっています。

木刀作製に携わった方はわかると思いますが、1ミリ削るだけで、重さ・バランスが変化します。木刀作製は、非常にシビアでデリケートです。

 

リメイクと御祓い

今日は、真言宗の寺院で、70年ぶりに復刻した野太刀自顕流仕様木刀の護摩祈祷を執り行いました。

当会は、神仏を尊い、野太刀自顕流(剣術)は神事であるという信心深さを重んじています。

新たに完成した木刀には、魔(外から入り込む外魔、使い手の心の煩悩からくる内魔)が近づかないよう、また入り込まないよう、特に薬師如来(煩悩を消してくれる神)や不動明王(魔が近づかないように守る神)の神様へ火で焚き、神仏をお呼びして護摩祈祷いたしました。

 

野太刀自顕流仕様フラッグシップモデルの木刀が遂に完成しました。

野太刀自顕流は、一千年以上も前に大伴家末裔の伴兼行(肝付氏先祖)が伝え、江戸後期までは、肝付一族の薬丸家が家伝の技として「野太刀流」、または「野太刀の技」と称し、薩摩藩を中心に広まりました。

歴史的にもそれを次世代に伝えるために、木刀銘を、「野太刀」と命名しました。また、肝付一族の家紋(定紋)である鶴紋を彫っています。

 

初代は、奥田先生より受け継いだ奥田派時代に使用していた木刀をベースに、僅かに筋肉を落とし持ち重りを軽減したモデル。

相対稽古では打ち負けないマッスルパワーを持たせ、特に、掛かりや打ち廻りそして長木刀の技など激しい打ち込み打ち合いに大いに活躍する武骨な木刀です。

 

一方の弐代は、初代を継承しつつも、奥田先生の愛刀と修正すべき点(遺志)を忠実に復刻させました。初代よりもスリム化と持ち重りを軽減するために、ミリ単位で何度も修正を繰り返しました。

これにより、4尺2寸もある長大な太刀で、1㌔超えの重厚な作りにもかかわらず、上方2/3が無いのではないかと思うぐらいに絶妙なチューニングが施されています。瞬時のトップスピードが要求される「抜き」の技には、その実力を十二分に発揮します。

先ずは、二つの木刀を手に取り、持ち重りなく打ち込めて、心地よく抜けられる抜き味をぜひ体感ください。

 

 

やっぱり野太刀自顕流はユスで決まり!

今日は、木刀製作のために宮崎県都城市へ行ってきました。

都城市は、宮崎県南西部の霧島山系麓の盆地に位置した南九州の中核都市です。都城木刀は、全国の木刀の90%以上の生産量を誇り、宮崎県の特産品にもなっています。

野太刀自顕流の打ち棒に使われる木材と言えばユス。一般的な樹木名ではイスノキとして知られ、南九州の常葉樹のひとつです。

国内で最も堅くて重く粘りもあることから木刀に適した木材です。ただ、なかなかの入手困難な木のようです。特に100年近く経った大木(上記写真)となると…希少価値が上がります。実際に山を歩いても、そう簡単にお目にかかれるものではないですね。さらに樹齢300年以上のユスとなれば、芯はスヌケと呼ばれ高級木刀になります。もう宝探しの世界です(汗)

樹齢100年前後の数十年寝かした良質なユスをセレクトし製作に取り掛かりました

今回は、お客さまより注文を頂いた4尺2寸の野太刀木刀(初代と弐代)と復刻モデルの小太刀木刀を一本一本、職人の手で作製していきました。

やっぱり自顕流にはユス製の木刀がお似合いですね♪

 

武骨で太い木刀がメーンの野太刀自顕流には、口伝で小太刀の技が残されています。意外かもしれませんが、野太刀自顕流の究極は、この短い木刀で片手持ちで斬り込む「小太刀の技」なのです。

長大な野太刀初代と弐代とともに、興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせください。是非お試しあれ!!