郷中教育
鹿児島は、全人口の約1/4が武士でありました。薩摩武士の青少年達には、『郷中教育』という薩摩藩の伝統的な教育を行いました。
郷中とは今でいう町内会と考えればいいでしょう。当時、鹿児島の城下には数十戸を単位としておよそ30、外城(地方の拠点)には合計130近くの郷中があったと言われます。
郷中は、青少年を「稚児(ちご)」と「二才(にせ)」に分けて、忠孝実践(日新斎いろは歌暗唱、薩摩義士伝輪読会等)・山坂達者(やまさかたっしゃ=野遊びによる体力養成)・武道修練(示現流や自顕流等の剣術)を通じて、先輩が後輩を指導することによって強い武士をつくろうとする組織でした。西郷隆盛・大久保利通・東郷平八郎など日本の土台を作った元勲たちも郷中教育の中で育っていった。
現在全国で活動されているボーイスカウトのようなものと考えれば分かり易いかもしれません。(一説にはボーイスカウトも郷中教育に触れたイギリス貴族が母国で始めたのが始まりとも言われております。)薩摩武士の子どもたちは、一日のほとんどを同じ年頃や少し年上の人たちと一緒に過ごしながら、心身を鍛え、躾(しつけ)・武芸を身につけ、勉学に勤(いそ)しみました。
年長者は年少者を指導すること、年少者は年長者を尊敬すること、そして、「負けるな、うそをつくな、弱い者をいじめるな」と人として生きていくために最も必要なこと「薩摩の教え」として教えました。
当然薩摩藩であった都城地区にも同じような健児の舎「学舎」があったことと思われますが現在は一つも残っておりません。(鹿児島市内には何舎かは現在まで残って居ります。)
現在少子化が進み、子供たちの異年齢交流の減少や地域との結びつきの低下が叫ばれるなかで、異年齢集団活動(縦割り活動)による青少年育成の試みが全国各地で少しずつ見直され始めております。我々も有志の協力のもと学舎を設立し、取り組みの中で、武士道の精神世界に通じる誇りある、日本人のこの尊い精神文化を受け継ぎ次代へ伝えていきましょう。
中教育 on TV!(あのF氏来る!)
先日、「郷中教育」がTV番組に紹介されました。メインレポーターはなんと、あの仮面ライダー1号としてお馴染みの、藤岡弘さん。氏は俳優・タレントとしてはもちろん、国際武道家としても活躍されています。
番組内では、武道家として真剣かつ本質を捉えた質問を投げかける一方、当道場の子供たちへは、大きな愛情溢れる態度と笑顔で接していただきました。最後に子供たちに伝えられた、「君たちは日本の宝物だ。これからしっかり学んで、世のために役立つ人になれるようにがんばれ。日本を頼むぞ!」との力強いお言葉が印象的でした。当道場の子供たちの胸にもきっと響いたことと思います。
藤岡さん、ありがとうございました!